どこかの雑誌で「デジタルサウンドの耳につく硬い音はゲインゼロの真空管アンプを中途に入れると気持ちいい音になる」という記事を目にした。
でも、読み進むと、要するにアナログ歪みを付け足してハイレゾの鮮度を落とすのが目的ではとちょっとだけバカにしていた。でも、いつの間にか「Demiおじさんの気持ちいい音」というコンセプトに似ており無視できなくなった。
真空管アンプのゲインの無いプリ部分だけの製品って無いはずだし、殆どがイコライザアンプだし、仮にあっても高価だしと諦めていた。そんな時、中華アンプを輸入して、一手間加えた製品を出しているNFJという会社の製品を偶然見つけてしまった。
FX-AUDIO Tube-01Jという機種である。12V_DC起動のゼロゲインアンプである。が、チープで華奢で長持ちはしそうにないしと否定コメントになるだろうと予期していた
LPレコードの音で調整している我が家のマルチシステムであるが、ハイレゾを聴く際にはやむなく中高域のゲインを落とすことも多々あった。
早速、KORG DAC-10R とONKYO P3000 の間にこのアンプを入れてみた。火を入れて待つこと約5分で真空管は熱くなり音も出た。う〜〜ん、予想通り曇った音だ。楽器の定位が甘く、低域が控えめ。ちょっとだけ右に定位する。もしかして真空管のバランスのせいかも・・・・と思い出したら。ここで止めないのがDemiおじさんである。
軍用グレード管(ミルスペック)という交換真空管があるという情報を入手した。で。ロシア製のものを入手交換してみた。あまり大げさに書くつもりはない。が。正直びっくりした。目の前が開けた定位を示したのである。
確かにピンポイントの定位ではない甘い定位ではある。が気持ちのいい音なのである。ただし、ハイレゾ云々を口にする人にとっては無用の長物だと思う。調子に乗ってLPレコードにも使ってみた。ところが全く〜〜良くない。ただ鮮度が落ちるだけだった。
次に96KHz24Bitの購入したハイレゾでも使ってみた。音響の専門家でもない還暦過ぎた私の耳のせいか?冷たいPCMの音が1Bit DSDの様に暖かく聞こえるではないか。しばらくは耳の衰えたDemiおじさんのレファレンスになりそうだ。
気になってもう一度、Tube-01Jアンプに付属していた中国製真空管に換えてみたが、やはり全くダメだった。さすがソユーズ、さすがミルスペック、さすがのロシア管であることを思い知ることとなった。